Jun Imai氏のディレクター退職でホットウィールの一時代が終わる
2019/12/21
とてもショッキングなお知らせがあります。
あえて【悲報】とはしません。
ホットウィールのダイキャストデザイナーでありシニアディレクターであったJun Imai氏が、14年に渡るホットウィールでのキャリアから離れることになったそうです。
ご本人によるインスタアカウント@kaidohouseにて語られていました。
僕の拙い英語読解力だと、「ホットウィールのキャリアを離れる」ということと「ダイキャストは子供や友人との趣味に戻す」のようなことが読み取れます。
また、次の月曜日からは新しい何かがスタートするようなことも書かれており、現時点ではすでにシニアディレクターという立場ではなくなっているであろうことが予想できますね。
インスタグラムの投稿に対しては、ホットウィールの一時代を築いたJun氏が辞めてしまうことへの悲しみだけでなく、氏の新しい道に対して応援するリプライが多くついていました。
本当にホットウィールデザイナーとして愛された人だったんだなというのがわかります。
とはいえ、世界中にファンが多いJun氏が離れてしまうということは、50周年を迎えるホットウィールにとって一つの転機となることに違いないでしょう。
ジュン・イマイがHWデザインチームから離れるということ
Jun氏の退職については当然ながら数週間前から決まっていたことだったそうです。
氏と深い関係にあるJNC(Japanese Nostalgic Car)においても、当人の発表を待っていたような記事が掲載されていました。
[参考]MINICARS: the Jun Imai Era comes to a close at Hot Wheels | Japanese Nostalgic Car
記事によれば「Our friend and star designer Jun Imai has left Mattel for new opportunities.」となっており、ホットウィールデザインチームを離れるということだけではなくマテルから退職されるようですね。
氏が新しくスタートさせようとしているキャリアが何なのかは今のところわかりませんが、先のインスタにあった一文「I’m also happy to return to diecast as a hobby to share with my kids and friends.」から察するに、どこか他所のブランドでミニカーを作るとか、自身のミニカーブランドを立ち上げるとかいったようなことではなさそうな気がします。
要するに、「Jun Imaiデザイン」の新しいミニカーに出会うことはなくなる(可能性が高い)ということです。
ジュン・イマイという時代
Jun Imai氏がホットウィールに参加したのは今から14年前。
カリフォルニアのデザイン学校で自動車デザインを学び、アウディやホンダでのインターンシップを経て2004年にマテルへ入社しました。
最初にデザインされたのはAcceleRacersというサイドラインにおけるホットウィールオリジナルカー(シケインなど)でしたが、僕らが氏の名前を知ることになるのは数多くの日本車(特に旧車)によるところが大きいと思います。
MAZDA RX-7、NISSAN FAIRLADY Z、DATSUN BLUEBIRD 510などなど・・・今のホットウィールの顔とも言えるキャストの多くはJun氏デザインによるもの。
昨今のミニカー界に起こっているJDMブームは、こうしたホットウィールの日本旧車が火付け役だったと言っても過言ではないでしょう。
特に街道レーサースタイルで仕上げられたアイテムは、それまでホットウィールに見向きもしなかった方すらも取り込むほど、その人気を高めるのに一役買っていたことに違いありません。
彼がいなければJapan Historicsというサイドラインも生まれなかったのではないかと思われます。
前述のJNCにおいては「ホットウィールの50年」と銘打った記事にて「レッドライン期」「ブラックウォール期」「ブルーカード期」などと並んで、こうしたJDM・街道レーサーを中心とした時代を「ジュン・イマイ期」と称していました。
ホットウィールデザインチームには日本車への造詣が深いデザイナーが他にも在籍していますが、今回のJun Imai氏退職において「ホットウィールの一つの時代」が幕を下ろすという事実は避けられないものと言えるでしょう。
新生ホットウィールデザインチームに期待
また、Jun氏が残した功績は日本車だけに留まりません。
2008年にはホットウィールの40周年を記念したデザイナーズチャレンジという企画で、入社4年目にしながら「ホットウィールチーム代表」としてHW40というオリジナルカーをデザインし、ビッグスリーなど競合のコンセプトカーと戦いました。
2016年にはマグナス・ウォーカー氏とのコラボとなるポルシェ各種を登場させたり、2017年にはワイルドスピードに出演していた俳優サン・カン氏の所有者をキャスト化させたりと・・・ホットウィールに新しい風を積極的に取り入れていたのも記憶に新しいです。
Jun氏が去った今、新しいディレクターに任命されるのが誰なのかはまだわかりません。
ただ、新しくディレクターになる方が率いる新生ホットウィールデザインチームも、今まで同様またはそれ以上に僕らを魅了してくれることに期待したいところです。
最後の”Jun Imaiモデル”が気になる
さて、残念ながらJun氏の退職は決定してしまいましたが、「もうホットウィールにおいてJun Imaiモデルが登場しない」・・・というわけではありません。
というのも、ホットウィールのデザインってリリースの前年にはスタートしているから。
たとえば先日発売されたばかりのハコスカワゴンなんて、昨年の6月にはもうプロトタイプが出来上がっていましたからね。
つまり、2019年モデルにもJun ImaiデザインのNew Modelsが登場する可能性は大いにあるわけです。
もちろん今までのアイテムがバリエーション展開されることもありますし、「ただちにJun氏を感じられなくなる」ということはなさそうですw
また、個人的には氏の次の発言も気になりました。
I’ll spend some time reflecting on this rad ride,
「this rad ride」がホットウィールのことを指していると思うと、「今後もホットウィールに時間を費やすことがあるだろう」とも読めませんでしょうか。
そういえばホットウィールには「退職しながらも毎年New Modelsが登場する」という伝説的な人がいることを思い出しました。
できることならJun氏にも、退職後もちょっとずつでいいのでデザインに関わって欲しいなと願わずにはいられません!(いつでも帰ってきてね!)
おわりに
Jun氏の退職がホットウィールおよびミニカー業界にもたらす影響はどれぐらいか・・・それを推し量ることはできないですし、考えても仕方ないことなのかもしれません。
ただ、トイザラスの経営破綻やマテルの株価が落ちていることなどを考えると・・・不安になる部分ではありますね。
そうは言ってもホットウィールデザインチームにはこれまでホットウィールを支えてきた面々(Mark Jones氏やPhil Riehlman氏、Ryu Asada氏にDmitriy Shakhmatov氏など)が残っているわけですし、これからの新しい50年もより僕らを楽しませてくれるだろうと信じたいところです!
Junさん、お疲れっした!!
(・・・一昨日はエイプリルフールじゃ・・・なかったもんな。)
追記
引退した5月19日って、奇しくもホットウィールの誕生日だったっぽいですね・・・
Comment
ホットウィールのデザインは、かなりの技術が必要だと思います。
光(*≧○≦*)ホットウィール好きさん
コメントありがとうございます!
デザインチームの面々はもともと車のデザイナーだった方が多いそうで・・・車のデザインをできる方だからこそのミニカーデザイン、って感じなんでしょうね。
僕も昨年のデザインチャレンジコンテスト用にラフを描いたりしましたが、やっぱり素人にできるようなものじゃないと思いました。(あたりまえ)
本当にショックです。ホットウィールデザイナーを夢見てる僕にとってジュン イマイさんは神様のようなものでしたから。
うらたろさん
コメントありがとうございます!
そうですよね。
これはもう、ジュンさんに選ばれしうらたろさんが次のジュン・イマイになるしかないですw
こんにちは。彼の作品で購入したのは
個人経営の店でSting Rod II、西松屋でMAZDA REPUのみ・・・
せめてメインラインのBread Boxが欲しかった。
Junさん、ゆっくりミニカーセカンドライフを続けてください。
らちぇっとれんちさん
こんにちは!コメントありがとうございます。
メインラインのBread Boxですか~。
というかホットウィールは引退したデザイナーのアイテムもガンガン出てるので・・・今後のラインナップで登場してもおかしくないですよ!
Junさん、普通の男の子に戻っちゃうのかな。
あさーいあさーい自分でもお名前はここでよーく聞いています。日産&DATSUN命の自分としては、大変お世話になってます。ホットウィールから離れられる事は、大きな損失ではないかなあと思います。特に日本車に関して。新しい道がいいものでありますようお祈りします。
虎鉄さん
コメントありがとうございます!
僕もデザイナーさんの名前を知らなかった頃から、ラリーウッド氏とジュン・イマイ氏の名前だけはよく見かけていて知っていたぐらいです。
やっぱり一時代を築いた人なんだと思うと、ホットウィール側にしてみたら痛手ですよね。(逆にアンチからしたらラッキーなのかなw)
次世代のディレクターさんに期待したいところです!
Jun. imai氏といえば、私がホットウィールコレクションに没頭し始めて間もなくのころ新人デザイナーでデビューしましたが、何と言っても ROKET BOX にガツン!とやられたという記憶が強いです。
チョロQとはまた違う何ともアメリカンなあの衝撃(上手く表現出来ないけど”自由”を感じるという感覚)は忘れられません。
多分、90年代初頭にフィル. リールマン氏がDRUG BUSをデザインした時に、当時のコレクターが感じた感覚も…何か新しい時代が始まる…という似たようなものだったのではないでしょうか?
2000年頃から集めてる人には、私同様にJun. imai = ROKET BOXという人は多いと思います。
ドリフト仕様のパンダカラーの86をリリースして、日本でもまだメジャーではなかったネオクラシック車ブームや、アメリカで流行り始めたドリフトをいち早くホットウィールを使って紹介していました。
ホットウィールという誰でも手に取れる素材に時代を象徴するブームを取り入れたことで、10年・20年先でも「あの時代はああいうブームがあった」と沢山の人が懐かしく振り返ることが出来るでしょう。
史実や文化を人の想い出に残す…という意味でも、Jun. imai氏は非常に高い功績を残してくれたと思います。
ひょっとして商業デザインに疲れた?だけなのかもしれないので、暫くゆっくりリフレッシュしてもらって、ラリーウッドとは違った伝説を作り続けて欲しい。
またマテルに残った皆さんには、50周年の盛り上がりがホットウィールのピークとならないように、我々をガツンと言わせるニューモデルをこれからもどんどんリリースして貰いたいですね!
B太(中)さん
コメントありがとうございます!
ROCKET BOXはジュン氏本人も思い入れが深いモデルだと仰っていました。
そういう想いはファンにも届くものなんでしょうね~!
>上手く表現出来ないけど”自由”を感じるという感覚
いやー、よくわかります!w
僕がホットウィールオリジナルカーやカスタムカーに感じるのもこういったところなのかもしれないです。
>多分、90年代初頭にフィル. リールマン氏がDRUG BUSをデザインした時に、当時のコレクターが感じた感覚も…何か新しい時代が始まる…という似たようなものだったのではないでしょうか?
・・・なるほど!!!!!!
おそらくはその最初の波がPurple Passionだったりしたわけですよね。
>日本でもまだメジャーではなかったネオクラシック車ブームや、アメリカで流行り始めたドリフトをいち早くホットウィールを使って紹介していました。
こういった車文化への想いがユーザーたちと一致したデザイナーさんだったんじゃないかと思います。
ご自身が実車カスタムやミニカーを楽しまれていたり。
>史実や文化を人の想い出に残す…という意味でも、Jun. imai氏は非常に高い功績を残してくれたと思います。
まさしく「ジュン・イマイという時代」がそこにあった、って感じですね!
>またマテルに残った皆さんには、50周年の盛り上がりがホットウィールのピークとならないように、我々をガツンと言わせるニューモデルをこれからもどんどんリリースして貰いたいですね!
ほんとこれ!
何気に我々が手にするホットウィールのうち、ジュン・イマイモデルは一部でしかないですからね。
まだまだ楽しませてください!
こんばんは。正直ショックがデカすぎです。ホットウィールを本格的に買い始めたのが、此方のブログでも紹介されていたニード・フォー・スピードのコラボが切っ掛けだったのでイマイ氏のデザインするホットウィールの新作が見れなくなるかも知れないのは辛いです。タイムアタックシー今後も新しいカラバリ出ると良いなぁ。
雷電さん
こんばんは!コメントありがとうございます。
僕もこのニュースを知った時はショックというか絶望感を感じちゃいまして・・・もうホットウィールは終わりなんじゃないかと思いましたw
でもまぁ・・・他のデザイナーさんがこれまで以上に頑張ってくれると思いますし、タイムアタックシーのカラバリは出続けると思うので・・・楽しみにしていきましょう!
お疲れサンデーナイトでございます。
あえてもあえなくても悲報だと思います。
これはかなりショッキングです。。
ウィールでJDMといえば、というくらいに彼の影響は絶大でしたので、
後任に誰かがいるのか、非常に気になります。
とはいえ彼には次のステップでも頑張ってもらいたいと思います!!(^^)
まえけんさん
サンデーナイト!
まさか「れ」じゃなくて「さん」の方のバリエーションで来るとはw
コメントありがとうございます!
いやいや【悲報】ってしちゃうと、新しい門出を迎えようとしている氏に失礼かなと思いまして^^;
ここはファンなら快く送り出してあげるべきなんだろうなーと!
日本車という意味では後任としてRyuさんあたりですかね~?
あとはHONDAでデザイナーだったというMark Jones氏でしょうか。
でも個人的にはBrendon Vetuskey氏あたりが怪しいと思ってますw
こんにちは。
じゅんいま 「MAZDA RX-7つくったし、
NISSAN FAIRLADY Zも、DATSUN BLUEBIRD 510も
つくったし。もう作りたい実車はないかも~。
思い残すことは無いンゴ~」
だったり、でなかったり。
また気が向いたら帰ってきてね!・・・と思っています。
poncha2016さん
こんにちは!コメントありがとうございます。
たしかに作りたいヤツはだいたい作ったぜ・・・って感じはあるかもしれないですね。
まだまだファンは期待していたヤツがいくつもあったと思いますが。(FCとか)
マジでラリーウッド氏的な位置にいったらすごいなぁ・・・。