生けるホットウィールの伝説。ミスターホットウィールことラリー・ウッド氏デザインモデルのまとめ(抜粋)
2016/11/04
ホットウィールを集めていれば、否が応でもその名前を知ることになるラリー・ウッド御大。
「これもラリーウッドデザイン、これも、これも、これも・・・!」
というような状況を一度は体験することになるのではないでしょうか。
なぜそのようなことになるのかというと、彼が1969年からホットウィールのチームに参加し始めて2016年現在のNew Modelsまで実に50年近くも新しいモデルを生み出していることも一つの理由かもしれませんが、それよりも何よりもそのデザインの魅力に憑りつかれる人が多く、ファンが熱狂することで人気に火が付きやすいというのが真実かもしれません。
というわけでラリー・ウッド御大がデザインしたモデルについてまとめようと思いました。
ただ、膨大な数になってしまうので、有名どころをいくつかだけ抜粋しています。
ラリー・ウッドデザインの車たち
Mr. Hot Wheelsの異名を持つLarry Wood氏は、フォードで共にデザイナーをしていたハワード・リース氏の勧めで1969年にマテルに参加することになります。
以降1970年に最初のラリー・ウッド・デザインカーをリリースしてから2016年まで精力的にデザインを続けています。
ホットウィールの歴史が1968年に始まったことを考えても、まさにホットウィールの歴史そのものと言っても過言ではない存在だと言えますね。
氏のデザインで特に有名なのは、ホットウィールを「大人向けコレクターアイテム」に昇華させた「Purple Passion」があげられます。
僕もその魅力に憑りつかれつつあります。
ではその代表的な車たちを見ていきましょう。
Tri Baby
ラリー・ウッド氏デザインの一番最初のモデルは1970年だけにリリースされた「Tri Baby」です。
車体のネーミング由来まではわかりませんが、なんとも魅力的なラインを持ったモデルですね。
1970年のみしか生産されていない事を考えても当時モノは入手困難だと思われますが、1973年には「Buzz Off」という名称に変更されて、エナメルカラー+ピンストライプというデザインかつ後部ハッチがオープンするバージョンがリリースされ、これは1977年まで生産されています。
※ちなみにBuzz Offというモデルは2004年に全く別の車種がリリースされています。ホットウィールは同名他車種というのがいくつか存在しているので、これを追うのも面白いかもですね。
その後、HWCのNeo Classicsシリーズにおいて復刻。
とはいえ、レギュラーモデルには乗ってこないので、依然入手困難モデルと言えそうですね~。
それにしても、(余談ですが)やっぱり当時モノと最近のスペクトラフレームは輝きが全然違うように見えてしまうのは僕だけでしょうか・・・。
Tri Babyの流れは2009年にリリースされたTri Baby Tooへと引き継がれています。
Emergency Squad
1975年にリリースされたEmergency Squadはその後1986年にRescue Rangerとリネームされ、2016年現在ではRapid Responderとして今なおリリースが続いているラリー・ウッド氏デザインモデルです。
同年にリリースされた「ラリー・ウッド本人の電話番号が印刷されている」というRamblin’ Wreckerや同じく同年リリースのSuper Van(2003年からは’70s Vanとしてリツール)と”同じベース(シャーシ)”を使っているのが特徴で、当時の売り上げ不振にあった状況で効率的にデザインされたことが伺える面白いモデルでもあります。
[参考]HW RAPID RESPONDERのレビュー。シャーシに隠された秘密。
’57 T-Bird
1978年にリリースされた、57年式のフォードサンダーバードもラリー・ウッド氏デザイン。
そもそもFordに在籍していたとかGMにいたとかいう経歴のある氏ですから、本来はこういった実車モデルのデザインの方が得意だったりするのかな?とか想像しちゃいますね。(実際にはプライベートでもホットロッド好きで、エンジンのデザインとかを担当していたそうですが)
70年代はラリー氏自身もホットウィールと共に駆け抜けたのかな、ってぐらい数多くのモデルを排出されています。(マングースとかもそう)
Sharkruiser
80年代後半はホットウィールにおける「闇」と言われる時代です。
そんな時代にラリー・ウッド氏はとんでもないものを市場に投下しました。
それはSpeed Demons各種です。
化け物×車という発想は、当時の子供たちに少なからず衝撃を与えたのではないでしょうか。
中でもこのSharkruiserは今なお根強いファンがいるモデルであり、日本でも「サメ」の愛称で親しまれています。
Sharkruiserの流れを汲んだモデルとして2016年にはShark Biteという新しいサメも登場しました。
これもラリー・ウッド氏デザインということを考えると、Sharkruiserの正式な弟分なのかもしれませんね。
他にもVampyraやCargoyle、Ratmobileといった化け物カーや、ロボットが横たわって車になっているZombotも同氏のデザインだと知ると、売り上げ不振をいいことにデザインをめちゃくちゃ楽しんでいたんじゃないか!?って気がしないでもないですw(苦しんでもいただろうけれど)
Purple Passion
ここでようやくパープルパッションの登場です。
ホットウィールの低迷期であった80年代後半から、よりコレクター路線に進んでいった90年代以降への光明となったモデルとして有名ですね。
[参考]「全米の玩具屋から姿を消した」で有名な最初期Purple Passionのレビュー
80年代はより玩具的なデザインでこどもをターゲットにしたモデル・・・というよりも実験的なモデルが多かった中、ラリー・ウッド氏が「こどもなんて知らねえよ(と、思ったかどうかは定かではないですがw)」と言わんばかりに「大人に向けて」デザインしたものなんですね。
Purple Passionに全米の大人たちが熱狂し、その結果として現在のホットウィールがあると言っても過言ではなく、言うなればホットウィールの歴史を守った伝説的なモデルとも言えるわけです。
ちなみに氏は80年代にもVW Bugなどの実車ベースモデルをリリースしていますが、90年代はより精力的なリリースがありました。
僕が所有しているDodge Viper RT/10やDodge RAM 1500もそうですし、’59 Caddyや’59 Chevy Impalaなんかも氏のデザインです。
2004年にはPurple Passionの元になったモデルとも言える’49 Mercを同氏がデザインしています。
Bone Shaker
2000年代のラリー・ウッド氏デザインのモデルで有名なものとしてはボーンシェイカーが挙げられます。
2006年にリリースされ、ゲームやアニメなどを通じていろいろなホットウィール製品に展開されているモデルでもあり、日本国内においても「謎車のくせに人気があるモデル」という立ち位置だったりします。
Bone Shakerは今なお新しいカラーリングのものが登場していますが、Baja Bone ShakerやBone Speederといったラリー・ウッド氏のボーンシェイカーのリスペクトモデルとも言えるようなアイテムが出ているのにも注目です。
Turbine Time
近年のモデルでは2015年のTurbine Timeもラリー・ウッド氏デザインモデルでした。
これも不思議な魅力がある車です。
New Modelsのサイドタンポには「Elwoods Garage」という記載があり、Elwoods→L.Wood’sということで、ラリー・ウッド・ガレージを意味していたんだそうです。
ホットウィールのデザインにはよく実際の企業名が印刷されていますが、そういったものに紛れてデザイナー名がこっそり入っていたりするのも気づくとかなり面白いですね。
Purrfect Speed
後半飛ばし気味で紹介しましたが、現時点で最新のラリー・ウッド氏デザインモデルはこれです。
2016年Qアソートで登場した「Purrfect Speed」。
[参考]Purrfect Speedのレビュー。ラリーウッドが2016年に投下した猫謎車
まさかの最新アソートで、Speed Demonsの流れを汲むマシンが登場したわけです。
おわりに
というわけで、駆け足でラリー・ウッド御大デザインのモデルを紹介しました。
こう見ても本当にホットウィールの歴史を飾るようなモデルを数多く輩出しているんだというのがわかりますね。
2017年にもきっとカッコいいモデルをリリースしてくれるのではないかと思います。
1942年生まれの氏は2016年の今年にはもう74歳というご高齢。
ちょうど僕の義父がそれぐらいの年齢なのを思うと、まだまだ元気だとは思いますがお体には十分気をつけてほしいところです。
Comment
僕はホットウィールをかれこれ8年ほど集めていますが、ラリーウッド氏の名前を知ったのはここ数年のことです。2007年頃の日本版カードの裏にはそのホットウィールのデザイナーが誰か、物によっては書いてあったんですけどね。ちなみにご存知かも知れないですが、あのcustom continentalをデザインしたのは初期レッドラインのデザイナーで有名なIra Gilford氏ですよ〜あと、僕のcontinentalも、画像のTri Babyと全く同じイエローです!
harunamさん
コメントありがとうございます!
・・・って、8年も続いてるんですね~。1年そこそこの僕からしたら大先輩です。
2007年頃の日本版カードというと、ショートカードのやつですかね。
ラリーウッド氏以外にもデザイナーを知っていくと、それはそれで面白かったりしますね。
>continentalのデザイナー
Ira Gilford氏といえば、TwinMillのデザイナーさんかな。
初期の頃の色気あるデザインはなかなか現代だと出てこないですね~
こんにちは!
ラリー・ウッド御大と聞いて飛んできました!!
個人的no.1はやはりWAY 2 FASTですね。
このV8を2基載せた暴力的な’32フォードこそが、自分的にはまさにHWカルチャーそのものを具現化した物だと勝手に思ってます(w)
中でもCHAMPIONSHIP AUTO SHOW.INCの特注のが一番気に入ってます。
カードに描かれた御大自ら描き下ろしのイラストが超カッコよくて、某ショップにあったカード擦れありの出物を\1200で購入したのを今でも覚えてます。
これで中身もカードと同じプロサーキットホイールでレタリング入りタイヤだったら、カッコよすぎてとんでもない価格に跳ね上がったのではないかと思ったり。
あとは、別の記事でも書きましたSIDEKICKですね。
そういえばこれもV82基がけですね・・・なんかこういう他のミニカーではありえないけど、実現できそうな作りとデザインの絶妙なバランスが御大の魅力なのかもしれませんね!
トルネオさん
こんにちは!コメントありがとうございます。
>WAY 2 FAST
うわっ、この車、初めてみました。
「V8を2基載せた暴力的な’32フォード」っていう表現、かなり適切ですねw
>CHAMPIONSHIP AUTO SHOW.INCの特注
検索して拝見しました。
たしかにタイヤがイラストと全然違うので惜しい感じがありますねw
しかしこれ、不思議なんですが、海外サイトだとデザイナー名が「Bruce Baur」となっています。
でもイラストのタイヤには確かに「L.WOOD」と入ってますよね・・・謎。
>SIDEKICK
おおー、これもラリーウッド氏でしたか!
オークションなどで見かけるごとに気になっています。
>他のミニカーではありえないけど、実現できそうな作りとデザインの絶妙なバランスが御大の魅力なのかもしれませんね!
なるほど。実現できそうなリアリティをもって、ファンはそこに夢を託すわけですね。
ラットモービルとかは実現してほしくないけど・・・w
返事はやい! こんにちは!!
すみません、どうも私の盛大な勘違いのようです(汗)
WAY 2 FASTのデザイナーはBruce Baurが正しいようです。
ラリー御大はカードイラスト(多分グラフィックの)デザインを手がけたということじゃないかと思います。(HWではモデルのデザイナーとグラフィックのデザイナーが別な事が多いので・・・)
嘘言ってすみません、猛省しますm(_ _)m
今回の件で色々調べて見て、改めて御大のデザインの幅広さに圧倒されました・・・
別の意味で大好きなGoodYearBlimpとか、なぜこんなでかいV10載っけたし!なStreet Cleaverとか、やっぱりV82基がけなSL(!?)のRail Rodderとか、個人的に大好きな車種(?)らがこぞって御大のデザインだったとは・・・
まだまだ知らないことが沢山ありますね。本当に勉強になります。
また色々教えてくださいね!
トルネオさん
たまたまコメントいただいたタイミングと返信タイミングがかぶりましたねw
>ラリー御大はカードイラスト(多分グラフィックの)デザインを手がけたということじゃないかと思います。(HWではモデルのデザイナーとグラフィックのデザイナーが別な事が多いので・・・)
なるほど、そんなことがあるんですね!!
謎が解けてよかったです。
WAY 2 FASTでいえば、グラデザがラリーウッド御大でモデルがBruce Baur氏ということですね。
・・・どちらが先なんだろうw
>別の意味で大好きなGoodYearBlimpとか、なぜこんなでかいV10載っけたし!なStreet Cleaverとか、やっぱりV82基がけなSL(!?)のRail Rodderとか、個人的に大好きな車種(?)らがこぞって御大のデザインだったとは・・・
GoodYearBlimp・・・え?車種?え??w
でもわかります。僕も好きな車種について調べるとデザイナーが御大だったということが多く、今回まとめようと思ったので。
StreetCleaver・・・改めて冷静に考えるとすごいですねw
その馬力を何に使っているのやら・・・。
Rail Rodder、はじめてみました。面白いですね!
すでにFinal Runしちゃってるみたいですが。
>まだまだ知らないことが沢山ありますね。本当に勉強になります。
>また色々教えてくださいね!
いやいやいやいや!
いつも僕がいろいろ教えて頂いている方じゃないですかw
こちらこそいろいろ教えてくださいw
Jun Imaiさんもお忘れなく。
JOE COOLさん
コメントありがとうございます!
メールでも頂いていたJAPAN NOSTALGIC CARの件と併せてJun Imai氏もいつか取り上げたいと思っています。
ただ・・・魅力的なデザイナーさんも数多く、いつになることやら・・・w
次はフィル・リールマン氏かなとも考えています。