ホットウィールの失敗作・・・FATBAXシリーズについて & JACKNABBIT SPECIALのレビュー
2019/06/06
普段リサイクルショップ巡りやオークションサイトでの購入などをしないコレクターさんにしてみたら「なんじゃこりゃああああ!!」という感じのアイテム。
これも立派な「ホットウィール」です。
「嘘だろ・・・こんなの売れたのかよ・・・」
って、思いますよね?
その通り!!
いますべての人が予想したとおり・・・売れなかったんだそうですw
Hot Wheels Wikiには以下の一文が載っていました。
The cars with this odd design caused a financial loss for Mattel and the sales of Fatbax cars were unsuccessful.
※訳「この変なデザインの車は、マテルに経済的な損失を引き起こした・・・Fatbaxの販売は失敗やった。。。」
いったい誰が、どんなテンションの時に「これやろうぜ!」って言いだしたのか・・・夜中の超眠い時に企画会議でもしたのか・・・って感じのアイテムですが、こういう挑戦を50年間続けてきているあたりがなんともホットウィールらしいとも言えますよね。
そんなFATBAXよりJACKNABBIT SPECIALをゲットしましたので紹介します。
FATBAXシリーズとは
FATBAXはホットウィール2004年のメインラインに設定されていたシリーズ。
極端にデフォルメされたボディと、極大すぎるリアタイヤ(=おそらくFat Backs)が特徴的なアイテムたちです。
その奇妙な形状故に、ホットウィールの基本である「横顔を見せる」というパッケージングではありませんでした。
実は2004年はホットウィールにとってもかなり実験的な年であり、FATBAX以外にもデフォルメシリーズがいくつか登場しています。
有名なのは’ToonedとBlingsで、現在のメインラインの「TOONED」セグメントにも受け継がれているため、新規コレクターでも馴染みが深いでしょう。
‘Toonedモデルはアニメ調にデフォルメされたアイテム。
Blingsはギラギラの大きなホイールと、四角い車体で・・・カワイイながらいかつい、そんな印象のアイテムです。
他にも大きなノーズを持ったHardNozeや、極端にボディが細いTorpedoes(2005)、お尻に向かってなだらかな傾斜を持つCroozeなどがありました。
いずれも商業的な価値を持たなかったのか、短命に終わっており・・・Fatbaxシリーズもリリースされたのは2004年の1年間だけ・・・というある意味希少なアイテムだったりします。
※売れなかったくせに14年経ったいま店頭にないとは・・・どこへ消えたのか・・・。
FATBAXシリーズのラインナップ
FATBAXは2004年の1年間しかリリースされなかったシリーズなので、ホットウィール全史においてたったの10種しか存在しないようです。
10種ラインナップは以下。
- MUSTANG GT 2004
- PLYMOUTH BARRACUDA
- SILHOUETTE
- SHELBY COBRA 427 S/C
- DUPLIFIED
- TOYOTA SUPRA
- EXHAUSTED
- JACKNABBIT SPECIAL
- C6 CORVETTE
- B-MACHINE
何がすごいって、普通に「SNAKE (PLYMOUTH BARRACUDA)」とかがある点ですよ。
こんなのファンだったら絶対に買うしかないじゃないですかw
Original 16のSILHOUETTEもあるし。
EXHAUSTEDはTWIN MILLだし。
これ結構「リサ店あるある」だと思うんですけど、「おおっ、スープラあったー!!」って思って手に取ってみたら、なんか後輪がめちゃくちゃ大きかった・・・みたいなね。
そういう意味で、(名前だけ見ると)かなり魅力的なラインナップになっているのです。
JACKNABBIT SPECIALのレビュー
ではついでなので・・・今回ゲットしたJACKNABBIT SPECIALも見ていきましょう。
実は僕も何度となくリサイクルショップで出会っていながらスルーしてきたシリーズです。
今回レビュー用の提供品という形で入手することができました。
自分で買うんだったら、おそらくもうしばらくは手が出なかっただろうと思うので、提供して頂いてありがたかったですw
さてさて、JACKNABBIT SPECIAL。
前述の通り、2004年のFATBAXシリーズにてデビューして以降は生産されていない・・・ある意味貴重品w
1970年のホットウィール「JACK RABBIT SPECIAL」をFATBAX化したアイテムです。
※JACK RABBIT SPECIALはベースになった車両もありそうなアイテムなのですが、これもまた1970年の1年だけリリースされて終了しています。
各部見ていきましょう。
フロント・リア
もうね・・・本当に誰が言い出しっぺなのか、当時を知るデザイナーさんたちに聞きたいぐらいですw
ただ、当初は「これもうわかんねえな・・・」って感じだったFATBAXですが・・・こうして前後の写真を見ているとなんだかすごく可愛らしく思えてきました。
なんとなくですが、フォーミュラマシンのようにも見えてきたり。。。
FATBAXシリーズはこの大きな後輪にばかり目が行ってしまいがちですけど、実は大きなエンジン(スーパーチャージャー)を積んでるアイテムが多いっていう特徴(?)もあったそう。
もしかしたら店頭から消えた背景には「エンジンスワップ用にゲットしとくか・・・」みたいなのがあったかもしれないですね!w
サイド
ボディサイドから見ると「スーパーカリフォルニアカスタム!」って感じの超前傾スタイルに驚かされます。
もう笑うしかない・・・いや、笑いを通り越してドン引き・・・みたいな。
極大ホイールと大きなエンジン、前傾スタイルは僕としても大好きなんですが・・・そこにデフォルメボディが組み合わさると一気に玩具感が強まり過ぎるというか、、、
可愛いには可愛いです。
トップ・ベース
うーん、この・・・。
こんなの見せられても、誰も「あっ!ホットウィールだ!」ってならないですよね~。
・・・逆に「こんなことやるの、ホットウィールぐらいだ!」って感じかもw
底面にはしっかりホットウィールロゴが入っちゃってるので逃げも隠れも出来ませんが・・・。
ボディの印刷にはいつものタンポとは違う綺麗な仕上がりを感じます。
著作年は2004年、マレーシア製でした。
気になるリアホイールと、載せ替えで普通になるのかの検証
例によって、いろいろ気になったので分解してみました。
パーツ点数的には今のホットウィールよりも多く、またこのシリーズでしか使われなかった特殊な後輪が採用されているので・・・コスト的にも結構「アカン」感じのヤツだったんじゃないかと思わされます。
※ただ車体が小さいから、もしかしたら安かったのかも。
バラシてみて特に気になったのはこの後輪のアクスル。
ホットウィールを始めとする「走らせることを目的としたダイキャストカー」の場合、車輪と軸は独立した構造になっているのが普通です。
・・・が、FATBAX専用ホイールはぶっといアクスルが車輪にしっかり固定されていたんです。
なのでこうやって立たせてもホイールの表側に軸の頭が出てくることはありません。
でもこれ・・・走りの速度を落とすことになり兼ねませんかね・・・?
ホットウィールって「世界最速のミニカー」が売りだったハズなのに・・・。(今のコピーは「世界で一番熱いミニカー」になってますが)
・・・と、思ったら!
そもそもこれ、ホットウィールのオレンジ色のトラックを走れる幅で設計されてないですね。
なので「走らせる用のミニカー」ではなく、「観賞用のミニカー」だった可能性があるわけです。
・・・ターゲット誰だったんだよ・・・。
さて、ここで僕は閃きました。
「後輪を普通のホイールに差し替えたら、ただのToonedモデルになるんじゃね?」って。
Toonedだったらほら、このキャストを現代に蘇らせてもいいわけですよ。
そう思って、家にあったやや大き目の径のホイールを嵌めてみたところ・・・
こんな感じに。
あ、なんかすっごいチョロQっぽいデフォルメ感になったような気がしますね。
こうなったらSNAKEとかをこの仕様にして21世紀モデルとして出してくれてもいいんじゃないかな!なんて思いました。(買うとは言ってない)
おわりに
というわけで、FATBAXシリーズのまとめおよびJACKNABBIT SPECIALのレビューでした。
FATBAXは僕がたまに行くリサイクルショップでは毎回何かしらが陳列されています。
なので・・・ちょっと探したら出てきそうな感じではありますね。(レアなのに・・・!)
気になった方はぜひ探してみてくださいw
※今回もご提供頂いた某氏様、ありがとうございました!
Comment
こんにちは。
でも、コレ好き~。
はみ出し加減がいじらしい・・・
なんだかんだで、3~4台持ってたような気が。
すぐに見つかった2台がこちら!
http://poncha.blog.jp/archives/28121024.html
poncha2016さん
こんにちは!コメントありがとうございます。
はみ出し加減・・・いじらしいなんてもんじゃないですよ・・・。
おいなりさんだったらもう「全部出ちゃってる」って感じです。
>なんだかんだで、3~4台持ってたような気が。
さすが、まとめ買いの賜物ですね??
・・・って、スネーク!いいなぁ。カッコいい。
この当時はマッスルマシーンが流行っていて、マテルの売上げに口を出せる偉い人が何か余計なこと言ったんじゃない?って思ったもんです。
当時一緒にトイザらスに並んでたコレクター仲間からも愚痴が漏れていた記憶があります。
でも、ファットバックスのスネークやブリングスのGT-R、ハードノーズのマーキュリーなんかは結構人気があったんじゃなかったかな?
今になって観れば、極端なアングルの写真をそのまま3D化したようにも見え、一種のトリックアートを狙ったのかな?とも思えるような思えないような…。
B太(中)さん
コメントありがとうございます!
ほうほう・・・当時を知る貴重な意見・・・参考になります。
というか、やっぱりその頃から普通にトイザらスでは並ぶ習慣があったんですね^^;
そしてやっぱり「アタリ・ハズレ」があった、と。
BlingsのGT-Rはなんか違う名前のヤツでしたよね。
やっぱりファンならキワモノモデルでもゲットしないわけにはいかないかとw
>極端なアングルの写真をそのまま3D化したようにも見え、一種のトリックアートを狙ったのかな?
これだ!!
そもそもハードノーズがそんなコンセプトだったんじゃなかったでしたっけ??
もしかしたらいろいろな角度から撮影していくうちに「これだ!!!」っていうアングルがあるかもしれませんね。。
なんかこう…海苔巻きみたいで…
フツーにカッコよくないから売れなかったのでは!(直球)
ホイール替えたら何の特徴も無くなってて吹いた笑
パッスンさん
コメントありがとうございます。
>フツーにカッコよくないから売れなかったのでは!(直球)
いや、その通りだと思いますw
きっと満場一致かとw
>ホイール替えたら何の特徴も無くなってて吹いた笑
そうなんですよね。
こうなっちゃうともう「ホットウィールじゃなくていいじゃん」って思えそうな危うさもあるという・・・。
なんだろうか、デザイナーさんビール飲みつつ、深夜の謎テンションで仕上げたのかな? パーツの点数的に豪華な作りなのに、個性的過ぎる後輪が足を引っ張りまくる。かといって後輪無いと普通のチョロQ。マテル神はトゥーンドのボディに前後この個性的ホイールを履かせてトゥーンドモンスタートラックとか出して見たら面白いかも?
雷電さん
コメントありがとうございます!
>深夜の謎テンション
絶対それですよね!w
翌朝にはみんな「本当にこれでいいんだろうか・・・」と思いつつも、一度決まってしまったことだし引けなくなった、とw
実際にはマテルのことなので、そこは綿密に計算された何かがあったんだと信じたいところですが・・・。
>トゥーンドのボディに前後この個性的ホイールを履かせて
前後とはなかなかのチャレンジですねwwwww
はじめまして、
当時、このシリーズ チョロQコレクターの自分からすれば カッコよく見えました。現在でもトゥーンド、ブリングス等 極端なデフォルメされたモデルが好みです。2004年よかったなー…
ホンダさん
はじめまして!コメントありがとうございます。
ウオオ・・・そうなんですか!
チョロQコレクターの方を取り込むための作戦だったのかも!?w
そうなるとまた実験的にこういったアイテムが出てくれたら嬉しいですねw
こんにちは!
これまた懐かしい黒歴史アイテムを発掘してきましたね!
確かこの年は、何をとち狂ったのか
「2004年はFE100台出しちゃうよ!」
とかアホな事をマテルが言い出して、本当に100台出してきた謎の年だったハズです。
そして、そのFEの中に押し込んで来たのがコイツらなんですよ。
Fastbaxではsnake持ってますよ!私の初snakeなので大切に保管してます。
あんなにデフォルメされてても、しっかりsnakeのグラフィックがプリントされてて、堪らなくカッコ可愛いですよ!
他のヘンテコシリーズも何台か持ってます。
なかなか愛嬌あって可愛いんですよ。Torpedoesのsliderとか、横から見たらどう見ても後期型S14!なのに、前から見たら超細ぇーーー!って、何度見ても笑えます。
確かインプレッサも出てたっけ?今なら争奪戦になるか…いや、ならないでしょうね。
とにかく、ヘンテコシリーズのゲット、おめでとうございます!
まぁ、こんな遊び心満点なミニカーを創れるのも、HWデザイナーたちが本当に優秀な集団だからなんだろうなぁ…
と、今更ながらに思います。
トルネオさん
こんにちは!コメントありがとうございます。
黒歴史とかヘンテコシリーズとかw
そう言いながらゲットしているあたり、愛を感じますw
さてさて、FE100台・・・今考えると激熱ですね!
でもその中にヘンテコマシンがたくさんあったら、ガッカリするコレクターも多かったんじゃないかって思えます^^;
snakeはTwitterで画像をみせてもらったんですが・・・何気にカッコいいですね。
やっぱり後輪は気になっちゃうけど、ここまでグラフィックスをこだわってあると「欲しい!」って思わせられる不思議。
>Torpedoes
これはまだ出会ったことがないんですよ・・・そういえば。
S14とかもあったんですね・・・(細くても)今なら争奪戦でしょうwww
>こんな遊び心満点なミニカーを創れるのも、HWデザイナーたちが本当に優秀な集団だから
そうですね。
僕もたまに妄想するんですよ。ホットウィールみたいなダイキャストミニカーブランドを自分で作ったらどうなるだろう?って。
でも、どう考えてもホットウィールを超えられないっていうか・・・「だったらホットウィールでいいじゃん」っていうレベルでしか妄想できないんです。
やっぱりそれだけ自動車に精通していたり、面白い発想が出来る人たちが集まってるってことなんだろうなーと実感しますね~。
最近ですが
SKULL SHAKERにFAT BAXの
タイヤ付けカスタムしました。
なかなかカッケーですよ。
ホットウィールらしさ全開で
僕は好みですけどね🎵
HIDEじさん
コメントありがとうございます!
拝見させて頂きました!!!!!
これ、めちゃくちゃカッコいいですね!
デフォルメされた大き目のフィギュアが乗っているおかげでうまいことマッチしているんでしょうか!?
こうなるとHEAD STARTERとかにも似合うのかな・・・。
後輪が、太巻き寿司みたいに太いですね(^^;チョロQみたいな製造ぽいですが…余り人気はイマイチだと思いました。むしろチョロQの方が良かったし…かっこいいのでは?
光(*≧○≦*)ホットウィール好きさん
コメントありがとうございます!
そうなんですよ、これ・・・タイヤじゃなくて太巻き寿司なんです。
でもこういうところにチャレンジしていくという精神がホットウィールなのかなーって思いますね~。
Hello.
A little message from France to thank you for your article.
2004 was a wonderful year for collectors.
I managed to get all the FatBax, Crooze, Torpedoes, Blings and Hardnoze plus a Chrisler Maisto.
Unfortunately it didn’t last long and HotWheels quickly fell into line.
What happened in 2004-2005?
Only the Tooned continue to be produced for our greatest joy.
Best wishes.
Jean-louisさん
Hi!コメントありがとうございます。
2004年はとても実験的な年だったみたいですね。
マテルも新しいファン層を獲得するために色々と試してみたのかも?
今見てもワクワクするようなものばかりで、当時のコレクターさんが羨ましいです。
Toonedでも最近は屋根が高いモデル(Tooned Golf、Manga Tuner、Porsche 964 etc)が出てますよね。
これも20年後ぐらいには「あの頃は良かった」って言われるようになるのかな!