ホットウィールが3インチである理由について
2021/01/26
ホットウィールのスケール(サイズ)は、だいたい1:64と言われています。
ミニカーに限らず、鉄道模型やガンプラなんかも縮尺は何分の一という数値で表すため、”だいたい1:64”というのが正しいのだと思います。
・・・が!
たとえばこんなのを見ると「え?1:64?」って思うわけです。
この2台が同じ1:64だとしたら、スクールバスがやけに小さくなってしまうか、キャデラックがめちゃくちゃデカくなってしまうじゃないですか!
また、
これなんかも1:64だとしたら、そうとう大きな人間と、それよりかなり大きいスケボーということになってしまいます。
なのでホットウィールのサイズを表すときには1:64というよりは「3インチ」と呼ぶのが正しいのかもしれません。
※3インチはだいたい7~8センチのこと。
ホットウィールはこの7~8センチに統一されているミニカーシリーズということになります。
さて、ではなぜホットウィールは「3インチ」なのでしょうか?
その理由について調べてみました。
なぜホットウィールは3インチなのか
ミニカーにもいろいろなスケールがありますね。
1:18、1:24、1:32、1:43・・・などなど。
大人のコレクション用には1:43スケールが一般的でしたが、今日においてこどもが遊ぶ小スケールミニカーとしてはこの3インチミニカーが一般的です。
ホットウィールのみならず、トミカもそうですし、最近スーパーでよく見かけるようになったマジョレットもそうですね。
他にもGreen LightやJohnny Lightning、Racing Championなどなど、各メーカーがいろんなブランドで3インチミニカーを展開しています。
ではなぜ3インチなのか?
その答えの前に、僕の妻が立てた仮説がすごくしっくりきたので紹介します。
仮説「こども用サイズということ」
妻が立てた仮説は「こどもが手に持ちやすいサイズだからでしょ」というものでした。
おおー、それっぽい!
たしかに1:18スケールのミニカーは仕上がりもリアルだけれど、こどもが手軽に手で持って遊ぶのには大きすぎます。
そして1:100より小さくなってくると、誤って車ごと飲んでしまうかもしれない。
そう思うと3インチぐらいというのはちょうど良かったんじゃないか?というわけです。
なんとなく正解っぽいぞと思って調べてみたら・・・全然違いましたw
答えはマッチボックスにあり
なぜ3インチなのかの答えは、イギリスの老舗ミニカーブランド「マッチボックス」にありました。
実はホットウィールもトミカもマッチボックスの大成功に影響を受けて3インチミニカーを展開していったのです。
時系列で言えば、1953年にマッチボックスがスタートし、1968年にホットウィール、1970年にトミカがスタートしました。
つまり、当時世界的に小スケールミニカーで大成功をおさめていたマッチボックスに倣って3インチにした・・・というのが正解なわけです。
・・・。
じゃあなんでマッチボックスは3インチなのよ?という話になりますよね。
そこにはマッチボックスの生みの親である、ジョン・W・ジャック・オデル氏とその娘さんのエピソードが関係してきます。
ジャックの娘と小さなロードローラー
ジャックの娘・アンが通っていた小学校では、”学校にもってきていいおもちゃ”に「マッチ箱に入るサイズのものまでOK」というルールを課していました。
そのルールを知ったジャックは、アンに「マッチ箱に入る真鍮製のロードローラー」を作ってあげたそうです。
当然アンが持って行った小型のロードローラーはたちまち男の子たちの人気となり、「僕も欲しい!」となったわけですね。
そういった要望を受けてスタートしたのがマッチボックスブランドのはじまりで、そのスケール感を踏襲しているからこそホットウィールは3インチ(マッチ箱サイズ)だというわけでした。
おわりに
というわけで、ホットウィールが3インチの理由を作ったのは、ジャック・オデル氏の娘さんであるアンちゃんが通う学校のルールだったわけですね。
もしその学校で、「おもちゃはマッチ箱サイズまで」というルールがなかったら、今の世の中にホットウィールのみならず3インチミニカーは登場していなかったかもしれません。
ありがとう、アンちゃんが通った学校。
ありがとう、アンちゃんの友達の男の子たち。
ちなみに、ホットウィールは3インチであるところは参考にしたものの、
ドアの開閉やタイヤの幅、車体のペイントなどは緻密に計算したうえでオリジナルの展開をしていきます。
ホットウィールの追撃を恐れたマッチボックスは慌てて”ホットウィール仕様”に自社のミニカーを合わせていきますが時すでに遅し。
というか、マーケティング的にマテルの方が優れていたんですね。
結果、マッチボックスブランドを有していたイギリスのレズニー社は倒産、
数度の売却を経て、いまやマッチボックスはマテルに買収されてマテルの1ブランドとなっています。
ホットウィールからしたら、かつて憧れていたパイセンが弟弟子になった感じですね。
敬語を使うべきか、タメ語でいくべきか迷う存在なのかもしれません。
後日追記
マッチボックスがホットウィールを真似て作った「Superfastシリーズ」。
そのアイテムと思しきを、当時のホットウィールにパッケージングした商品がヤフオクに出ていたのを偶然見つけました。
この記事を書いた当時は「なんぞこれ!?」となりましたが、今思うとなんとも洒落が効いているというか・・・皮肉な感じの出品物だったんだなぁw